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株式交換・株式移転とは?


事業承継の一つにМ&Aによる事業の継続を望む経営者なら、株式交換・株式移転がその候補の挙がることと思います。
他の会社へ、所有または経営する会社を預け渡す手段に加えられるように、株式交換・株式移転を取り上げて解説をしています。
二つの違いについて、説明の登場する親会社・子会社にも触れました。他社とかかわりを持って事業を継続する株式交換や株式移転の仕組みを知って、選択の幅を広げてください。

株式交換とは

株式交換は、自社が発行する株式会社の発行済み株式を、すべて他の株式会社または、合同会社に取得させることです。

・平成17年に改正した会社法によって、「合同会社と株式会社」が行う株式交換も認められるようになりました。
・合同会社は親会社のみ、子会社になることはできません。
・また、交換した株式の対価には、親会社の株式のほかに、金銭・社債・新株予約権・新株予約権付社債なども認められました。

以前よりも株式交換を行う裁量が増えています。それでは、株式交換を行う利点はどのようなことが挙げられるでしょうか。

株式交換のメリット

・株式交換に選べる対価を金銭・社債・新株予約権・新株予約権付社債など、会社の形態や規模に合わせられる。
・完全子会社となる会社は株主総会の特別決議を得て、株式交換を行うため、株式を交換した後も友好的な関係が望める。
・株主全ての承認を得なくても、株式交換を実行できる。株主総会などの議決を経る必要もありません。(スクイーズアウト)

スクイーズアウト

「会社の株主を所有数によって選別、大株主だけを株主と認めること。その他の株主は対価を支払うことで株式の交換を認めさせる」
すべての株式を対象の会社から買い取った場合についての流れがこちらです。

株式交換を行うまでの流れ

契約の準備

取締役会決議
取締役会設置なしの場合は、「取締役の過半数」により承認を決定(取締役が二人以上の場合)

株式交換契約を結ぶ

株主総会の特別決議

株式交換

株式交換の効力発生

登記申請

交換まではこのような手順を経て進められます。
交換した株式は親会社と子会社では株式の価値には開きがありますので、比率を設けてふさわしい株式の保有数を維持しています。

交換株式の比率

・「親会社の株価:子会社の株価」、が一般に求める交換株式の比率です。
子会社の「株価200」に対し親会社の「株価1000」と設定した場合 親会社:子会社=1:0.5
子会社の1株に対し親会社の株式は2株が割り当てられます。
会社の価値とは株価の一面から図れるものではありません。複数の方法を組み合わせた評価を、現実では行います。

・インカムアプローチ

将来見込める利益に生じるリスクを割り引いた評価基準

・マーケットアプローチ

対象とする企業が所属する業界を評価基準に据える手法

・コストアプローチ

会社の純資産を基準に企業の価値を評価

このような評価方法をを加えることで両社が同意する交換比率を導くのです。

株式移転

株式移転は、1または2つ以上の株式会社が発行株式のすべてを、新たに設立する株式会社へ取得させることです。
全ての株式を取得した株式会社は株式移転完全親会社(以下、完全親会社)と呼ばれ、自社の株式を移す会社を株式完全子会社(以下、完全子会社)といいます。
株式交換と同じく、会社法の改正によって、取得する株式への対価は、自社の株式のみから、社債・新株予約権・新株予約権付社債に選択の幅が広がりました。

株式移転の手続き

株式を親会社へ移転するまでの流れをまとめています。計画~完了までに必要な手続きやするべきことを確認してください。

1.株式移転計画を定める
2.株式移転計画を備え置く
3.株主・へ株式移転の承認、買取請求の通知(買取請求は新株予約権者にも)
4.株主総会 特別決議
5.株式移転無効の訴え
6.株式移転の成立(完全親会社、完全子会社となる)
7.株式移転に関する書面を備え置く(株式移転が成立した日より6か月間)

株式移転のメリット

・債権者保護手続きは限られた場合のみ
株式が完全親会社に移ることを除くと、会社自体の変化はありません。従業員や契約などを結び直す必要がないのです。

・二つ以上の会社が完全子会社になる場合、共同で取り組む事業が行いやすい
子会社となる二つの会社は、完全親会社との関係が共通するのみで、会社同士の統合はありません。合併や統合のように二つの会社で給与や就業規則などを取り決める必要はないのです。

株式移転の比率

株式移転の比率は株式交換で求めた比率に合わせください。株価やそのほか会社を評価する方法と組み合わせて、比率を割り出します。
株価から比率を求める場合には、A社の株価2000 B社の株価400 ならば、株式移転比率はA:B=1:5となります。

会計上の手続き

株式交換と同じく、株式移転においても税制の適格要件を満たす場合は、課税の必要がありません。

【税制適格要件】
完全子会社の株主は株式交換の対価に、完全親会社が発行する株式のみを受け取る場合が適格要件とされます。
売却によって得られた対価は株式が交換される直前の帳簿価額に相当するため、譲渡益は発生しません。
しかし、適格要件に満たない場合には課税の義務が生じます。

【適格要件に満たない場合】
完全子会社の株主は株式交換の対価に、完全親会社が発行する株式以外の資産を受け取った場合です。
完全子会社は株式を移転する直前に、資産の時価評価を行い、譲渡損益を計上しなければなりません。

ちなみに株式交換・株式移転の税制適格要件が平成28度に改正されました。
<改正1:特定役員の継続要件の緩和>
株式の交換・移転後に共同で行う場合の適格要件について、株式交換前に完全子会社の特定役員は退任をしなくても良いことになりました。※改正前は一人以上の退任が適格要件でした。

<改正2:株主50人以上の株式交換による取得価額の変更>
完全子会社の株主が50人以上の場合、完全親会社が取得する株式の取得価額は、完全子会社の前期期末の帳簿価額から負債を引いた資産額へ変更をされました。

株式交換と株式移転の違い
 株式交換株式移転
親会社の性質既存の会社新会社
株式会社・合同会社株式会社のみ
株式の移動親・子会社が双方の株式を交換する現金で買い取り、新会社の株式を取得する
目的他社の買収事業の拡大
法人格交換後も継続して使える新会社へ変わる
親会社・子会社とは

親会社と子会社は支配する側と支配を受ける側と説明することができます。

親会社

・株式会社である子会社や、それに該当するほかの会社を支配している法人
・子会社の議決権の過半数を所有する
・金融商品取引法の適用を受ける親会社は、連結財務諸表を作成する義務がある。

子会社

・総株主の議決権の、過半数を所有する株式会社や、それに該当する会社から経営の支配を受ける法人のこと。
・取締役会の過半数が親会社から派遣されている場合など、会社を実質支配していれば、
総株主の議決権の、過半数に達していない会社も子会社とされる。
・子会社は、原則としてとして親会社の株式を取得してはならない、とされています。
・一定の場合にのみ、親会社の株式は取得することが認められています。ただし、相当の時期に 処分をしなければなりません。

©2017 青山東京法律事務所.
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