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寄与分と特別受益とは?

相続人のうちの誰かが特別に被相続人からお金をもらっていた、逆に、相続人のうちの誰かが、被相続人を大いに助けたということになれば、その人の得した分や損した分は調整されるべきだろう。それが、寄与分と特別受益という制度である。今回は、この二つの制度を紹介していこう。

 

■寄与分とは?

一つ目が寄与分。相続人の被相続人に対するいろんな意味での援助を評価したものだ。
すなわち、相続人の中に被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付、被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持又は財産の増加に特別の寄与をしたものがあるときは、その価額を相続財産から除外し、その寄与をした人に与える。
ただ、これは気持ちとか無形の貢献を評価したものとは違う。あくまでも、財産上の給付や財産の増加をもたらした場合のみを規定したものだという点には注意を要する。

つまり、親子仲が兄弟の中で一番良かったとか、海外旅行に一緒に行ってあげたとか、病院に足しげく見舞いに行ったとかでは、不十分。
寄与分にあたるとされるのは、父の家業をほとんど報酬ももらわずに手伝い、財産の増加に貢献したとか、父の事業の借金を返済したとか、父の看護に務め、その結果、付添人の費用を免れたとかいう場合。つまり、お金に直結していないとダメだということ。
寄与分の金銭的価値への評価は、難しい。父の家業の手伝いであれば、子どもの貢献度を2分の1と見るか、3分の1と見るかで争いがおきる。親族間で話し合って合意できればよいが、もめた場合には家庭裁判所で調停を受けることになる。

寄与分の調停事件は年間200件程度あるが、多くのものは遺産総額の10%~20%の範囲で認められており、50%を超える場合はほとんどない。
あなたが被相続人に対して、大きな貢献をしたと思っていても、あまり大きな金額の評価にはならないものと思っておいた方がいい。

 

■特別受益とは?

寄与分の逆、相続人が生前被相続人からお金をもらっていたりすると、特別に利益を受けたものとなり、その相続人の相続分から差し引かれる。
特別受益の金額が算定され、それが遺産の金額に加えられる。それをもとに、相続分が計算され、そこから生前にもらったお金が差し引かれたものが、その人の取り分となる。
具体例として、夫が既に亡くなっていて、妻(A,Bの母親)の遺産が1000万円、子どもがA,Bの二人の場合を考えてみましょう。

Aには特別受益が200万円あるとすると、遺産総額が1200万円となる。そして、A,Bの取り分は600万円となるが、Aについては特別受益の200万円が差し引かれて400万円、Bについては、そのままの600万円が相続分になるというわけだ。

一般的には、どんなものが特別受益となるのだろうか?

第一に被相続人からの遺贈(遺言により贈与されたもの)。
第二に、婚姻、養子縁組のための贈与。持参金や嫁入り道具などの持参財産、支度金など。結納金や挙式費用は通常入らないとされている。
第三に、生計の資本としての贈与。この言葉だけでは、ちょっと意味がわからない。独立に際しての営業資金、住宅の新築資金や家の新築のための土地の贈与がこれに当たる。大学の学費は、通常これに当たらないが、私立大学の医学部に進学し、数千万円の授業料を親が負担した場合などは、特別受益に当たるとされている。
第四に、被相続人の死亡により高額の死亡退職金や生命保険金を受けたものがいる場合には、これも特別受益にあたるとも考えられている。ただし、この点については、裁判所での審判例は別れているので、注意が必要。
こうして見てくると、特別受益の範囲は、結構幅広い。あなたも相続を受けるときには、他の相続人が特別受益を得ていないか、ちょっと立ち止まって考えてみる必要がありそうだ。

©2017 青山東京法律事務所.
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