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相続で使える、不動産による節税・養子縁組・海外居住相続税の活用方法

相続において、相続時精算課税制度、流行っている不動産による節税、養子縁組、海外居住を紹介します。
特に不動産の節税に関してはお問い合わせいただければ、しっかりとしたノウハウをご提案可能です。

 

■相続時精算課税制度とは?

2003年度の税制改正で、若い世代への財産移転を進めるべく、この制度ができた。どうも、国は国民にお金を使わせたいようだ。「貯めるよりも使え」が国の政策となっている。
この制度がどういうものか言うと、65歳以上の親から20歳以上の子への2500万円までの贈与を、その時点では非課税とする。しかし、相続時に贈与額を相続財産に入れて相続税を計算し、その税額を払うというもの。いわば、相続の前倒しとも、相続税の後払い制度だとも言うことができる。
2500万円以上の部分には、贈与時に一律20%課税されるが、これは仮のものにすぎず、相続時に相続税額が納めた税金よりも少なければ、税金が戻ってくることになる。逆に、20%より多い相続税を払うことが必要となれば、足りない分を払う。

この制度は、伸び盛りの会社の株を贈与する時には有効である。なぜなら、贈与をそのときの評価額ででき、相続税の計算においてもその価格で固定できる(会社成長後の高い株価で評価しなくてもいい)からだ。
また、賃貸アパート等の収益資産を贈与するときも、その後の賃料は贈与を受けた者がもらえるようになるので、有効な節税策である。
しかし、暦年贈与ができなくなってしまうというデメリットもあり、使い方の難しい制度である。

 

■現金、借金で不動産を買う

もう一つ相続税対策は、現金から相続税評価の低い不動産への転換だ。これが、今最も流行っている節税策である。
相続税の評価のところで述べたように、土地の相続税評価は路線価。路線価は、市場価格より30%程度低いと言われている。
1億円の現金なら1億円の評価をされてしまうのに、土地に変えれば7000万円となる。

同様に、現金を投じて、賃貸用のマンションを買うという手もある。1億円の現金を投じてマンションを買っても、その固定資産税評価額は5000万円~6000万円。これを貸せば、借
家権割合がさらに30%引かれるから、3500万円~4200万円の相続税評価にまで下がる。

最近やたらと流行ったのが高層マンション節税。高層マンションは、高層階ほど眺めもよく時価が高くなるが、相続税評価額は階数に関係ない。また、評価額に占める土地の割合が小さく、建物の割合が高い。日本では建物の固定資産税評価はかなり低いので、その結果、固定資産税評価額が時価の2割とか3割になるというもの。
ただ、最近、高層マンション節税に追徴課税を認めた国税庁の審判が出た。その物件はマンション30階の90平方メートルの一室。
入院していた父親が亡くなる1カ月前、親族が代理人となり約3億円で購入。マンションを相続した親族は、国税庁の通達に従い、財産としての価値を約6千万円と評価して相続税を申告。相続の4カ月後には業者に売却を依頼し、購入額とほぼ同額で売却した。

仮に現金で相続すれば約3億円に相続税がかかるが、マンションを絡めると評価額は2割になる。売却益についても、所得税がかかるのは購入額や取引コストを引いた残りなので、それがゼロなら税金はかからない。

2010年、親族は国税局の追徴課税の取り消しを求めたが、国税不服審判所は「税負担を避けるため、判断能力のない父親の名義を無断で使って契約した」と指摘。相続前後の短期間だけ所有したマンションを通達のやり方で評価するのは不公平とした。
この審判を見る限り、これはかなり特殊な場合で、ある程度長期間保有していれば、これまで通りの節税は否定されないと思われる。

もう一つ、銀行や住宅メーカーからのよくある提案が、借金してアパート経営に乗り出せというもの。銀行はローンを出して儲け、住宅メーカーは建設して儲ける。
建てた本人は、アパート経営をすることで、土地が貸家立て付け地となるので、相続税評価額が30%減額。建物の相続税評価額は固定資産税評価額(元々建設コストの6,7割にしかならない)から30%減額される。その上、建物建築コストの借金をしているので、大きな相続税節税につながるというもの。
建築後は、賃貸収入が入り、そこからローンを返済していく。うまくいけば、ローン返済額は賃料収入以下で収まり、毎月お小遣いまでもらえる。
これだけ聞いたら大きなメリットがあると思うが、油断大敵。
賃貸収入がローン返済を上回るという想定が崩れると、借金地獄になる。

 

■養子縁組を使った節税方法

養子縁組をすると、養子一人につき600万円の基礎控除枠がもらえる。その上、相続人が増えるから、各相続人の法定相続額が減り、相続額が増えると税率が上がっていく累進税率の適用を緩和することができる。

ただ、これを際限なく認めてしまうと、養子が10人ということにもなりかねないので、相続税法上、養子は一人しか法定相続人としてカウントされない。基礎控除枠の拡大も600万円で打ち止めである。

例)具体的な養子縁組をする効果とは?

たとえば、夫と妻、子ども一人、子どももすでに結婚していて孫が一人いるというケース。夫の財産は1億8000円とする。
夫が亡くなると、法定相続人は妻と子。
したがって、基礎控除額は3000万円+600万円×2=4200万円。

➀課税対象資産

2億円-4200万円=1億5800万円

➁各相続人の法定相続分

妻と子それぞれ2分の1ずつだから、法定相続分は7900万円

➂各相続人の相続税額

7900万円×30%-700万円=1670万円
(どちらも5000万円超1億円以下の30%の税率がかかる)

➃相続税合計額

1670万円×2=3340万円

➄相続税合計額を分割割合に応じて按分(法定相続分通り分けると仮定)

3340万円÷2=1670万円

➅税額控除後の最終課税額

妻 0(税額控除の範囲内のため)
子ども 1670万円

■孫を夫の養子とした節税方法

まず、基礎控除額が3人分に増えるから、3000万円+600万円×3=4800万円。

➀課税対象額

1億8000万円-4800万円=1億3200万円

➁各相続人の法定相続分

妻 1億3200万円÷2=6600万円
子ども 1億3200万円÷4=3300万円

➂各相続人の相続税額

妻 6600万円×30%-700万円=1280万円
子ども 3300万円×20%-200万円=460万円
(こちらでは、妻には30%の税率の適用があるが、子には3000万円超5000万円以下の20%の税率が適用される。子どもの法定相続分は5000万円を切ったおかげで、低い税率の適用で済む。これが累進税率の適用緩和。)

➃相続税合計額

1280万円+460万円×2=2200万円

➄相続税合計額を分割割合に応じて按分

妻 2分の1の1100万円
子ども 550万円
孫 660万円(孫養子は税額が2割加算される)

➅税額控除後の最終課税額

妻 0(税額控除の範囲内)
子ども 550万円
孫 660万円
合計 1210万円

 

養子を取った際の課税額のメリット

課税額は、養子をとる前の1670万円から1210万円へと、なんと460万円も下がった。
これが、基礎控除額が増えた上に、累進税率の適用が緩和されたメリット。

その上、孫を養子として、親(孫からみたら祖父)の財産を相続させれば、親-子―孫と2回相続をやらなければいけないところを、1回はしょることができる。
子も事業で成功したりしてお金持ちになっていれば、子から孫への相続のときも、相続税が課される可能性が高いから、相続税を1回パスできる経済的メリットは大きいというわけだ。

孫を養子にするときのデメリット

一番大きいのは、孫を養子にすると、養子は祖父と祖母の戸籍に入るということ。夫に息子がいて、その孫を養子にする場合なら、姓は変わらないが、娘の子を養子にしたときは、姓が変わる。姓が変わると学校や会社に言わなければならないので、これは大きなデメリットである。

 

■海外居住

相続税は、海外では0のところが多くある。これが、資産家の海外脱出がはやった理由だ。たとえば、香港なら相続税も贈与税も0。
たくさんの資産家がこれを利用していた。子どもを香港に住ませ、その間に贈与をするというスキームだ。
有名になったのは、あの武富士創業者の長男が、1996年に両親から受けた贈与。なんと贈与税が1600億円相当。
長男は、1997年から2000年までの間、香港に3分の2滞在していた。これが「生活の本拠地」を香港に置いていたと言えるかどうかが問題となった。
一審では、「生活の本拠」が香港にあったと認定された。

ところが、二審では租税回避を目的に国内外での滞在日数を調整していたとして、「生活の本拠」は日本にあったと認定された。最高裁で争われた結果、香港が「生活の本拠」と認められた。
この結果、武富士創業者長男が勝ち、1600億円の贈与税は返還された。
こうした租税回避行為をさけるため、2000年から、あげる側、もらう側のどちらかが過去5年以内に日本に住んでいれば、相続税や贈与税が課されることになった。
こうして、海外への一時避難による相続税、贈与税逃れは、簡単にはできなくなったのである。

©2017 青山東京法律事務所.
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